論文『ねじれπ共役分子の合成と固体状態の3次元π-π相互作用』がChemCommun誌に掲載されました
Synthesis, structure, and properties of twisted π-conjugated molecules featuring three-dimensional π-π interactions in solid states
Mai Nagase, Ryu Yoshida, Sachiko Nakano, Takashi Hirose, Yasutomo Segawa*
Chem. Commun. 2025, DOI: 10.1039/D5CC02387D
2つの平面をねじった形をもつ非平面芳香族分子は、それぞれの平面が分子間でπ-πスタックすることで3次元的なつながりをもった固体構造を取りうることが知られている。3次元π-πスタック構造は配向制御の必要のない半導体材料として有用である一方で、ねじれ構造にはひずみがかかるために平面分子と比較して合成が困難な場合が多い。今回我々は、チオフェン環およびベンゼン環からなる平面分子に対して合成最終段階で立体障害となるメチル基を導入することで、簡便にねじれ構造を作ることに成功した。得られた分子はねじれ構造によって2つのπ平面が異なる向きに向いており、その中でもジチエノチオフェン誘導体は結晶中で3次元的なπ-πスタックが見られた。OFET特性評価によって、この分子が半導体として利用可能であることを明らかにした。
Thiophene-containing twisted π-conjugated molecules were synthesized by introducing methyl groups to sterically hindered positions. Three-dimensional π-π stacking was observed in the solid state, and the hole-transporting ability up to 1.85 × 10–4cm2V–1s–1 was confirmed by constructing field effect transistor devices.
